| 松尾芭蕉の旅 鹿島紀行 | ||||
| 俳聖 松尾芭蕉・生涯データベース |
| _ | ||||
| 鹿島紀行 五 | ||||
| 旅の句集、自準亭連句 |
| 神前 | 神前 | |||||
| _此松の実ばえせし代や神の秋 桃青 |
境内に聳える見事な松を眺めていると、これが実生えした頃のことが、遥かに思い遣られる神前の秋であるよ。 | |||||
| ぬぐはばや石のおましの苔の露 宗波 |
神社の奥に入り、神が降臨したという御座(おま)しの石を拝観する。その石の苔に下り降った露ならば、手で拭ってみたいものであるよ。 | |||||
| 膝折やかしこまりなく鹿の声 曽良 |
神社の森に、鹿の鳴き声がやわらかく響き渡っている。神前では、どうやら鹿さえも膝を折ってうやうやしく鳴くもののようである。 | |||||
| 田家 | 田家 | |||||
| _かりかけし田面の鶴や里の秋 桃青 |
稲を刈りかけた田んぼで、鶴が餌をついばんでいるよ。こうしたのどかな秋の情趣に浸れるのも、田舎ならではである。 | |||||
| 夜田かりに我やとはれん里の月 宗波 |
里の夜空に月が皓々(こうこう)と照っている。こうした夜なら、私も雇ってもらい、月見をしながら稲刈りをしてみたいものだ。 | |||||
| _賤の子や稲すりかけて月をみる 桃青 |
月明かりをたよりに、百姓の子が庭先で籾摺りをしているなあ。照らなければ仕事ができないのだから、手休めにながめ遣る名月は、この子にとっては、実に尊いものだろう。 | |||||
| _芋の葉や月まつ里の焼ばたけ 桃青 |
焼畑に育っている里芋は、今こそ自分の出番と言いたげに、名月が掛かるのを心待ちにしているよ。 | |||||
| 野 | 野 | |||||
| ももひきや一花すりの萩ごろも 曽良 |
萩が一面に咲く野の原を歩いて行くと、股引が、秋の趣をたっぷりと吸い込んで、花摺衣(はなずりごろも)のように、萩色に染まってしまいそうであるよ。 | |||||
| 花の秋草にくひあく野馬かな 曽良 |
野飼いの馬は、花盛りの秋草を飽きるほど食して、今は、戯れ遊ぶばかりであるよ。 | |||||
| _萩原や一夜はやどせ山の犬 桃青 |
粗野に吼え立つ山犬よ、一度はこの優美な萩の原に宿をとって、夜を過ごしてみないか。 | |||||
| 帰路自準に宿す | 帰路自準に宿す | |||||
| 塒(ねぐら)せよわら干宿の友すずめ 主人 |
[発句] 友雀の方々よ、藁(わら)干しをして巣を整えたような粗末な家だが、今夜はゆっくりと休んでください。(自準) | |||||
| 秋をこめたるくねのさし杉 客 |
[脇句] 秋までには是非とも、と挿し木された生垣の杉が、順調に育っていて実に見事であるよ。(芭蕉) | |||||
| 月見んと汐ひきのぼる舟とめて 曽良 |
[第三] 月を見るために、綱を引いて動かす舟を呼び止めて、(海から入り込んでいる)潮をのぼって行くよ。 | |||||
| 貞享丁卯仲秋末五日 | 貞享四年八月二十五日 | |||||
| [語 釈] | ||||||
鹿島神宮の神前。 |
||||||
鹿島神宮・奥宮の南奥にある「要石」のこと。鹿島の神が降臨したときに座した石と言われ、地震を起こす大なまずの頭を抑えているとも。 |
||||||
でんか。いなかの家、いなかの意。 |
||||||
萩や露草の花を衣にこすりつけて染色すること。 |
||||||
常陸潮来の医師本間道悦とする説と、行徳の神職小西似春(じしゅん)とする説がある。 本間道悦は、芭蕉に「医術免許状」を書き与えたと伝えられる人物。本間家に「鹿島詣」の真蹟が伝わり、これを秋瓜が宝暦十年に板行。また、文化十年にも五世本間自準によって「鹿島詣」として板行されており、本書では、末尾の連句で、「主人」が自準の別号の「松江」に、「客」が「桃青」になっている。 小西似春は、京都から江戸に移住した談林系の俳人で、延宝三年、東下中の西山宗因を歓迎する百韻俳諧に、芭蕉とともに一座している。 |
||||||
< TOP >
![]()
掲載しているデータとリンクについて
テキストデータや画像データの無断使用・転載を固く禁止します。
リンクを張られる場合は、下記アドレスを対象としてください。
http://www.bashouan.com
![]()
俳聖 松尾芭蕉・生涯データベース
鹿島紀行
生涯データベース目次
![]()
おくのほそ道 総合データベース
俳聖 松尾芭蕉・みちのくの足跡
総合目次
![]()
Copyright(C) 2003-2004 LAP Edc. SOFT. All Rights
Reserved.
Maintained online by webmaster@bashouan.com